ーー低層非住宅・中大規模建築物の分野における木造の普及に期待が高まっています。普段の活動のなかでも、そうした建物の木造化が進んでいることを感じていますか。 青木●そうですね、特に低層非住宅の木造建築は増えてきたと思います。そうした流れを象徴する例として、当初は鉄骨造で計画していた建物を、途中から大空間のある木造に変更したケースもあります。 木造に対する関心は、設計者や施工者だけでなく、発注者の間でも高まっています。発注者の意識が変わってきた背景には、最近、注目されているSDGs(持続可能な開発目標)の観点などもあると思います。公共施設に限らず、民間の建物も発注者の意向で木造を検討するケースが増えてきました。 |
2019年12月に開催した「全木協神奈川県協会森林見学バスツアー2019」の様子。一般の人たちに森林や木材利用の意味を理解してもらうために、毎年開催している。青木氏がガイドを務め、木造の現場や、森林の伐採現場、機械等級区分のJAS認証を取得した製材所などを見学した(写真:青木工務店) |
(一社)JBN・全国工務店協会が2019年11月に発行した「地域工務店の中大規模木造建築事例集」。低層非住宅や中規模木造を手掛ける各地の工務店の実例を掲載。各地の設計者が、地域の工務店を知るガイドにもなる |
今こそ日本の森林資源の有効活用を 需要拡大で期待される「非住宅」の木造化JAS構造材の製材で設計の自由度が広がる可能性も |
構造計算の必要な中大規模木造は品質が明確なJAS構造用製材が有利JASの「機械等級区分」に関心が高まる |
森林維持のカギを握る「製材」の活用 設計の可能性を高めるJAS材利用木造をつくり続けてきた工務店は設計者の相談役に |
特産ヒノキのJAS製材を用いて、趣ある街並みになじむ宿泊施設木造の新工法開発につなげた「美馬旅館はなれ 木のホテル」 |
ツーバイフォー工法の壁にCLTの屋根を載せた平屋の保育所JAS材の利用で確かな品質を確保 |
成長したカラマツを製材で積極活用。地域の需要に応える独特の木造大空間製材を生かした意匠で魅せる「厚浜木材加工場」 |