ーー2010年10月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されてから今年で10年になります。この間、国産材の活用が大きく前進しましたが、木材の産地である森林資源は今どのような状況にあるのでしょうか。 齋藤●日本の森林資源は人工林を中心に毎年7000万㎥ずつ増加しており、2017年には約52億㎥に達しました。その6割超に当たる約33億㎥が、スギやヒノキ、カラマツなどの人工林です。半世紀前の人工林は約5.6億㎥でしたから約6倍に増えたことになります。 実は、日本の森林資源は、戦後の木材需要を満たすために大量に消費され、一度は枯渇しかけました。現在、日本の山に育っている豊かな人工林は、その頃に先人たちが植林し、再生したものなのです。その半数が今、一般的な「主伐期」である50年を超えて活用の時期を迎えています。 森林資源は、適切に管理すれば再生可能で、永続的に活用することができます。資源の少ない日本にあって、森林資源はとても大きなポテンシャルを持っていると言えます。 |
今こそ日本の森林資源の有効活用を 需要拡大で期待される「非住宅」の木造化JAS構造材の製材で設計の自由度が広がる可能性も |
構造計算の必要な中大規模木造は品質が明確なJAS構造用製材が有利JASの「機械等級区分」に関心が高まる |
森林維持のカギを握る「製材」の活用 設計の可能性を高めるJAS材利用木造をつくり続けてきた工務店は設計者の相談役に |
特産ヒノキのJAS製材を用いて、趣ある街並みになじむ宿泊施設木造の新工法開発につなげた「美馬旅館はなれ 木のホテル」 |
ツーバイフォー工法の壁にCLTの屋根を載せた平屋の保育所JAS材の利用で確かな品質を確保 |
成長したカラマツを製材で積極活用。地域の需要に応える独特の木造大空間製材を生かした意匠で魅せる「厚浜木材加工場」 |