CASE1.那須Sプロジェクト【CLT】

地域のランドマークとなる大規模CLT建築

CLT最長の12メートルを使った屋根
 JAS構造材個別実証支援事業の審査を通過した数々のプロジェクト。その中でも数年前に林産物JASとして認証されたばかりのCLTパネルをふんだんに使用した「那須Sプロジェクト」は、日本でも類を見ない建築である。
 CLTであったからこそ実現した建築について、設計・施工の両方の立場から活用宣言事業者である施工会社・株式会社DI・SANWA CORPORATION 取締役部長 森下勇氏(以下、森下氏)と設計会社・MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 主宰建築家 原田真宏氏(以下、原田氏)のお二人にお話を伺った。

<那須Sプロジェクト>
敷地面積 1275.17 ㎡
助成対象のJAS構造材 CLT
助成対象木材使用量 107.52㎥

CLTで光に満ちた大空間をつくる

−−−公募に参加した経緯を教えて頂けますでしょうか?

森下氏:設計会社様からご提案がありまして、JAS構造材利用拡大事業に応募いたしました。

原田氏:数年前からCLTを使った建築計画を考えていました。去年の夏にJAS構造材利用拡大事業の説明会に講師として呼んでいただき、この機会に施工会社さんに勧め、公募に参加しました。


−−−こちらの建物は、どのような目的で使われるのでしょうか?

原田氏:印刷会社のオフィスとギャラリーとして使われます。用途上明るい空間にしたいと思い、外光を取り入れるようにデザインしました。ここは、室内から前方に山々を眺めるロケーションも良く、さらにこのCLT大規模建築は幹線道路から目立つため、会社のPRになると思います。内装もいろいろな使い方ができるように配慮し、空間内に落ちる柱はなくしてこの光に満ちた大空間をつくりました。

CLTのメリット

−−−JAS構造材(CLT)のメリットについて教えてください

原田:JAS構造材をはじめとしたJAS製品は性能が明確化されているため、設計時の材料選定に比較検討ができる所がいいですね。JAS製品の中でもCLTは、積層が直交しているので2方向に強度があります。ここがLVL(単板積層材)とは違うポイントですね。今回の場合は特に梁の部分に関しては、CLTじゃないと成立しなかったですね。


−−−構造材として以外のメリットはありましたか?

原田:CLTのようなエンジリニアリングウッドは仕上げ材に使われることが普段少ないのですが、今回のデザインではCLT材の木目を美しく見せることにこだわりました。CLTの素晴らしい所は工期の短縮、仕上げ材として使えるクオリティ、270mm厚のため断熱材が必要ない所ですね。


−−−今回、CLTを施工してみた感想はいかがでしょうか?

森下氏:片面室内側は仕上げ材として使用されるため、木目が美しく見えるように施工前に何度も打ち合わせと調整を重ねました。板が大きいので施工も大変で、またそのまま壁になるため取り扱いにも注意しました。今回、そこに時間を掛けました。
CLTはJAS製品であるため、寸法の規格が明確です。あわせて材料の寸法精度が高かったので、この空間をつくる事ができたと思います。
小さな美術館をイメージしたオフィスの完成が楽しみと語る施主・砂川印刷株式会社 代表取締役 砂川徹男氏と建築家・原田真宏氏

CLT工法の今後の課題

−−−CLT工法を取り入れた感想や将来への展望はありますでしょうか?

森下氏:私はまだCLTの知識は浅いですが、次回施工する機会がありましたら、ぜひ住宅に使ってみたいですね。

原田氏:特に優れている所は、PC上で細かく指定したデジタルデータをデジタル連動の加工機により、正確に加工へ反映できる所に加え、木材であるため大工さんの伝統的な技術と非常に親和性が高い点ですね。ここが旧来のプレファブ系の建材と違う所で、『革新と伝統』をつなぐJAS製品であるCLTは新たな建材としてこれから注目されると思います。
 

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